差動アンプでは素子の特性が揃っているほど良好な特性を得られます。
MOS-FET 2SK3221のgmを測定しペアを選別しました。
今回測定した20個においてgmの最大値は0.226S、最小値は0.203S、最大誤差10%でした。
結論から言うと、この程度の誤差であれば無選別で使用可能です。
但し、この結果は測定した20個においてで、全ての2SK3221が良好に揃っているかは不明です。
固体番号 | 30mA近傍 | 70mA近傍 | gm | ||
電流値 | 電圧値 | 電流値 | 電圧値 | ||
2 | 29.5 | 3.34 | 70.2 | 3.52 | 0.226 |
12 | 30.3 | 3.26 | 70.6 | 3.44 | 0.224 |
18 | 30.1 | 3.36 | 70 | 3.54 | 0.222 |
7 | 30.7 | 3.36 | 70.6 | 3.54 | 0.222 |
5 | 30.1 | 3.39 | 71.8 | 3.58 | 0.219 |
3 | 29.5 | 3.47 | 71 | 3.66 | 0.218 |
8 | 29.3 | 3.39 | 70.8 | 3.58 | 0.218 |
11 | 29.5 | 3.35 | 70.4 | 3.54 | 0.215 |
16 | 29.5 | 3.46 | 70.3 | 3.65 | 0.215 |
1 | 29.8 | 3.32 | 70.4 | 3.51 | 0.214 |
19 | 29.8 | 3.32 | 70.2 | 3.51 | 0.213 |
17 | 29.9 | 3.41 | 70.1 | 3.6 | 0.212 |
20 | 29.8 | 3.14 | 69.9 | 3.33 | 0.211 |
13 | 30.3 | 3.25 | 70 | 3.44 | 0.209 |
14 | 30.3 | 3.34 | 70 | 3.53 | 0.209 |
9 | 30.3 | 3.29 | 69.8 | 3.48 | 0.208 |
10 | 30.5 | 3.28 | 69.6 | 3.47 | 0.206 |
6 | 29.5 | 3.33 | 70.5 | 3.53 | 0.205 |
4 | 30.5 | 3.41 | 69.4 | 3.6 | 0.205 |
15 | 29.5 | 3.39 | 70 | 3.59 | 0.203 |
MOS-FETのgm測定に簡単な測定器を作りました。
gm測定器の外観と回路です。
外観 | 回路図 |
ドレイン電流30mA近傍と70mA近傍時のゲート電圧を測り、gmを求めます。
gm = (70mA近傍ドレイン電流−30mA近傍ドレイン電流)/(70mA近傍時ゲート電圧-30mA近傍時ゲート電圧)
MOS-FETの発熱によりドレイン電流は変動します。温度上昇が安定し、ドレイン電流の変化が収まってから目標電流値近傍でドレイン電流とゲート電圧を測ります。
MOS-FETの放熱の為にMOS−FETを大型の金属クリップで挟んで測定をします。
測定にはgm測定器の他に
が必要です。
シャーシはぺるけアンプ標準シャーシに加工を追加して用いました。
追加した加工項目は
です。
バランス入力端子と大型スピーカ端子を備えたシャーシ裏面
グランド配線
グランド配線は回路図のグランドラインの順番そのままの渡り配線です。アース母線や1点へのスター配線は用いません。
接地点
標準シャーシの左端ソケット取り付け穴に設けられた無塗装点の1点に回路図グランド印点を繋ぎます。電源部での接地はしません。
信号線の配線
全て普通のリード線で配線します。シールド線は用いません。入力部で配線が長くなる箇所のみゆるく捩ります。
ヒーターの配線
太めのリード線で配線します。捩ったりしません、他の配線と分離することもなく、他の配線と混ぜて敷線しています。
2SK3221はフルモールド品です。定電流源用LM317もフルモールドのJRC製NJM317を用います。
フルモールド品は絶縁されているので直接シャーシにネジ止めでき実装が簡単になります。
放熱の為、素子裏面にシリコングリスを散布してからネジ止めします。
クリックすれば大きな写真が表示されます。
全景
入力端子付近
バランス入力とアンバランス入力の切り替えがある為、入力付近は配線が煩雑です。シールド線を用いると配線の手間が大変になるので、全て普通のリード線で配線しました。配線が長くなる箇所のみゆるく捩ります。
今回用いたRコア電源トランスは漏洩磁束が少ないので、このような配線が可能です。
部分拡大
このアンプには調整箇所はありません。
製作後の確認順序は下記の通りです。