出力管を換えた場合の1W/1KHz時歪みと最大出力
出力管 | 6L6GC JJ |
EL34 Svetlana |
KT66 Gold Lion Russia |
6550 Tungsol |
KT88 EH |
EL156LX China |
1W/1KHzの歪率 | .49% | .74% | .29% | .42% | .6% | .7% |
最大出力(5%歪) | 9.45W | 7.5W | 9.25W | 9.5W | 9.2W | 8.5W |
管を換えても良好に動作します。多くの管で最大出力は9W以上です。
KT66 Gold Lionが歪み、最大出力共に優秀でした。
EL34 Svetlanaは歪み、最大出力共に芳しくありません。今回使用したSvetlana製に限った問題かもしれません。
KT66 Gold Lionでの入出力特性です。
無帰還時増幅度 | 14倍 |
帰還時増幅度 | 7.7倍 |
帰還量 | 5dB |
残留雑音 | 0.43mV(無補正) |
仕上がり利得は約8倍で使い易い増幅度です。 残留雑音は0.43mVと良好です。
出力トランスの降圧比が29:1ですので、カスコード出力段の増幅度は14X29=406倍となります。
目標の500倍以上には届きませんでしたが、まずまずの結果です。
1KHz1W、5W、9Wの出力波形です。
1W | 5W | 9W |
KT66 Gold Lionでの周波数特性です。
無帰還時特性
-3dBの帯域は55Hz〜28KHzです。低域、高域とも緩やかに減衰しています。
時定数が1個の単段増幅ですので初期の減衰特性は-6dB/oct.を示します。
200KHz前後に乱れが見えますが既に裸利得が殆ど無い帯域なので負帰還の障害にはなりません。
5dB帰還時特性
負帰還により-3dBの帯域は30Hz〜52KHzに拡大します。200KHz前後の乱れに変化はありません。
EL34、KT66、KT88、EL156の4種の周波数特性の違いを比べてみました。
出力管による周波数特性の違いはありません。
KT66 Gold Lionでの10KHz方形波応答です。
6Ω負荷
6Ωのみ | 6Ω+0.01uF | 6Ω+0.1uF | 6Ω+0.47uF | 6Ω+1uF |
無負荷
無負荷(出力端開放) | 0.01uFのみ | 0.1uFのみ | 0.47uFのみ | 1uFのみ |
6Ω負荷の有無、並列に負荷される容量の多少に関わらず、リンキングは生じず安定な出力波形を保ちます。
単段増幅という時定数が少ない構成が良好な結果をもたらしています。
KT66 Gold Lionでの歪み特性です。
無帰還 | NF5dB |
1KHzは大変低歪みです。その他の10KHzと100Hzに関しても300Bシングル並の低歪みです。
歪みが滑らかに上昇する素性の良い特性をしています。
次に最も歪み特性の悪かったEL34の歪み特性を示します。
EL34 NF5dB |
最も悪かったとは言え5極管接続のシングルアンプとしては妥当な特性と思います。
管種別歪み特性の比較
EL34、KT66、KT88、EL156の4種の1KHzの歪み特性を比較します。
今回用いた球の中ではKT66が際立って優秀です。
KT66 Gold Lionでの400Hz基本波歪み成分の分析です。
0.1W時のスペクトラムです。
高調波は大変少なく、50Hz、100Hzの電源ノイズ並です。2次、3次・・・と高調波が順次減っていく素直な特性です。
1W時のスペクトラムです。
3次調波が2次を若干上回っています。下側MOS-FETとKT66の間で歪みの打ち消しが働いているのかもしれません。3次以上の高調波は順次減少しています。
5W時のスペクトラムです。
出力が上昇しても高調波の成分傾向が変化せず安定しています。出力レベルにより音色の変化が無く、安定した音質を保つと思われます。
KT66 Gold Lionでのダンピングファクタ特性です。
ダンピングファクタは約1です。高い増幅度を得る為には内部抵抗が高くなくてはならず。かつ負帰還が5dBと少ない為、ダンピングファクタは低い値となっています。
本アンプに残った唯一の課題です。